相続放棄の注意点

「借金があるので相続放棄したいんですけど」
と言われる方が多いです。

相続放棄自体は、戸籍を揃えて簡単な書類(インターネットでダウンロードできます)を被相続人の死亡地の家庭裁判所に提出すればできますので、すごく簡単です。

ただ、相続放棄はすればそれで終わりでなく、以下の4点がややこしいです。
すなわち、第1に相続放棄をする前に「処分」をしてしまったり、相続放棄後も「隠匿」「私に消費」すると、相続放棄自体の意味がなくなってしまいます。
例えば、一部でも財産を引き継ぎたい、家に住み続けたいという場合は相続放棄は選択すべきではありません(限定承認の検討が必要です。)。

第2に処分、隠匿、私に消費というのはどういった場合に該当するのか微妙なときがあります。

第3に相続放棄後も相続放棄した人は相続財産管理人や他の相続人に管理を引き継ぐまでは財産を管理する責任があります。

第4に全相続人が相続放棄した場合、相続財産管理人を選任しなければなりませんが、裁判所に納める100万円程度の出費と申立てのための弁護士費用を覚悟しなければなりません。

そのため、相続放棄をしたいというときはできる限り、何も手を触れず、弁護士にまず相談しにきてください。

2020年1月27日 | カテゴリー : ブログ | 投稿者 : 弁護士 杉島健文

後見業務の理解を深める

本日、大阪に後見の事務処理についての講演を聞きに行ってきました。

死後事務の詳しいところを聞いてみたいという意図です。

後見人は基本的に被後見人が亡くなれば、お役御免なわけですが

「病院への支払どないするの?」

「住んでたところの引渡しどうするの?」

「葬儀とかしてあげていいの?」

「被後見人の財産はどの相続人に渡してあげればいいの?」

「相続人に被後見人の財産引き渡すときは、裁判所から出されてる書式だけでいいの?」

「保佐と後見で扱いが違うの?」

などなど、めっちゃ疑問点がありました。

それらに対しては

「現金を引き出して預っておき、そこから、債務の履行をしよう。」

「合意解約は無理やから、家主に委ねよう。」

「葬儀は生前に契約してあげて、死後に弁済という形で履行する。」

「分かってる相続人1名にとりあえず渡してあげたら良い。でも、揉めないように口座は凍結させておこう。」

「相続時の財産目録、就任時から死亡までの収支計算一覧表、引渡時の財産目録を渡しましょう。」

「後見は包括的な権限あるけど、保佐人は目録記載の権限しかないから、葬儀契約は無理だね。」

などなど、めっちゃ発見がありました。

(てか、困ったときの事務管理が多いですね・・・)

また、死後事務以外にも、意思決定支援についても解説がありました。

意思決定支援は

「結局、本人の意思が全てを決めるんや!」的な説明をされることが多いです(僕もそれに近い考えをしていました)。

しかし、意思決定支援をそのように捉えると、「本人が納得してるから。」といういい加減な理由で、

めちゃくちゃ酷いこともできるわけです。

例えば、身体拘束も、本来であれば、必要性緊急性非代替性などの厳格な要件を満たさなければならないのに

本人が望んでたらオッケーとしてしまうと、そういった要件がなくても、面倒を看る人の都合で身体拘束できるとなりかねないわけです。(被後見人本人は、面倒を看る人に頼っているのでなかなか反抗しにくいでしょう。)

なので意思決定支援の場面というのは、あくまでも、選択肢が複数ある場合だけに限られ他人の人権との衝突場面、被後見人の生命身体自由財産を損なう場合は、要件を厳密に検討し、決定のプロセスの適正を担保するべきであるというものでした。

考えてみれば、意思能力がないから後見人が選任されてるのに、意思決定を被後見人に委ねるというのは自己矛盾であり

むやみやたらと本人の意思を絶対視しすぎることは、やはり良くないと改めて思いました。

それにしても、奥が深いですね、後見は。