杉島総合法律事務所

自筆証書遺言を弁護士が書いてみた

2019.03.31

自筆証書遺言作成の相談や作成援助の依頼を受けることがあります。

相談では、「自分で作るのは大変ですよ。公正証書遺言がお勧めですよ。」とよく言うのですが、
実際、どれくらい大変なのか。
依頼者の方がどんな想いで遺言を書くのか依頼者の気持ちになってみようと思い試しに自筆証書遺言を自分で作ってみました。

まず、誰にどんな財産をあげるか考えます。
財産をまず調べないといけない。
これ、財産があちこちに散らばっていたら、「資料探すの面倒くさいなあ・・・やめよ。」と思うでしょうね。

また、遺言書は基本的に誰に何を上げるかということを書くんですが、なぜ、この遺言を書くかということも書きます。これは書かなくてもいいですが、書いておいた方が争いになりません。

僕の場合は依頼者の気持ちになるため、という単純なものです(笑)
ただ、普通の方は「え・・・ストレートな理由はこうやけど、これ書くと角立つからなあ・・・面倒くさ。」となるかもしれません。

あと、僕は事件処理を抱えている関係上、パソコンなどのパスワードやら暗証番号を書いておき、後の処理をこうしろということも書きます。

そして、最後に日付と住所と署名押印して・・・

あっと、大事なことを忘れてました。ここまでの遺言は全てボールペンで手書きで書いてます。
(なお、現在は、相続法改正で、財産目録は、要件さえ満たせば、ワープロで作成することも可能です。)手が少し痛くなりました。

これはご高齢の方にとっては、もしかしたら、シンドイかもしれませんね。この面からも公正証書遺言は良いですね。公正証書遺言だと手書きで書くのは署名ぐらいで、公証人に対して、こんな遺言をしたいと伝えれば公証人が遺言を作成してくれますので。

また、この遺言をどこに保管するかも考える必要があります。
保管場所を伝えておかないと遺言が忘れ去られますね。
親しい人に遺言の存在を教えておく必要があります。
公正証書遺言ですと、原本が公証役場にありますので、問い合わせさえすれば、遺言は出てきます。

改ざんが怖い場合は、封をしておくことが必要です。
ただ、隠されたらどうしようもないですね。
公正証書遺言ですと、隠せませんね。

また、私は、ササッと書きましたが、普通の方だと緊張してうっかり誤字をしてしまうこともあると思います。

誤字を押印し、訂正箇所を明示したうえで訂正する必要があります。

・・・うん、自筆証書遺言はなかなか大変ですね。

いきなり書くのは難しいですね。何度も何度も日ごろから練習して書いておく必要があると思います。遺言は何度でもいつでも書き直しができますので。
ただ、それぐらい練習しなくても公正証書遺言であれば、口頭で公証人に伝えれば良いですから。
自筆証書遺言ではなく、やはり公正証書遺言がお勧めですね。

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