皆さん、ご無沙汰しております。
弁護士の杉島です。
最近、遺言の法律相談を受けることがあります。
そんな中で思ったのが
「皆さん、遺言って書いたら終わりって思ってないですか?」
ということです。
遺言は書いたら終わりではありません。
① 遺言の内容が法的に問題ないのかというのは基本です。
②遺言を書くことでどういう影響が出てくるのか。税金、人間関係、承継の仕方(土地家屋など)
③遺言で財産を受け継ぐ人に万が一のことがあったら、どうするのか
④遺言があることを関係者にどういう形で知ってもらうか
⑤自筆証書遺言であれば、検認してもらうということを忘れてないか。
⑥どういう形で、誰に実現してもらうか。
(特に、子どもさんなどの身寄りがいらっしゃらなかったり、身寄りと疎遠になられてる方にとって、切実な問題となります。)
⑦その遺言を本当に本人が書いたとどうやって証明するのか。(これは認知症の方の遺言で問題になりえますが・・・)
⑧税金・登記の問題
⑨自分が死亡したことをどういう形で伝えてもらうか
⑩遺言の形として、どういったものが適切か(普通の方式か特別の方式か、普通の方式として、どれが適切か)
などなどのことを見落とされているのではということを思ったりします。
公正証書遺言であれば、①⑦の点についてはかなり、問題にはなりにくいですし、⑤を考えなくてもいいです。
しかし、③④⑥⑧については、公証人の方が踏み込んでくれるのかは分かりません。
遺言を書いてほしいという依頼者の方が説明しない状況については、わかりようがないですし、
下手に介入すると、遺言がゆがんでしまう可能性を考慮して踏み込んだ質問を遠慮するということもあり得ます。
⑧のうち、税金は、税理士の領分ですし、登記については司法書士の領分なので、
適格な関与ができるかは疑問が残ります。
一方、自筆証書遺言については、本人おひとりだけですと、簡単にできるのはいいです(一人でこっそりできますので)。
上記の①から⑧を全部自分で考えて書かないといけません・・・(法務局に遺言を預ける制度を使えば⑤はクリアできます。死後、関係者に通知されるためです。)
本文は手書きが必要ですので、かなり面倒だなあと思います。
(財産目録はワードなどで作ることも可能になったのはありがたいですね。これはこれで、有効になるためのお作法があるので
そこも気を付けないといけません。)
(私も自分で遺言を書いてみましたが、手書きなので量が書けないです。
自分の思いとか・・・)
これらを回避するために必要に応じて、税理士や弁護士に相談するのは良いですが、複雑なものですと、その場で回答するのは無理です。
簡単なものであっても、相談だけでは、こういう方向性が良いですねということしか言えません。
(相談ですと、財産の状況も相談者様は言ってくれないことが多いので、適格な回答ができないということもあります。)
あとはそれを踏まえて市販の書籍やホームページから雛形を拾ってきていただき、ご自身で書いていただくということになります。
そのため、私としては、税理士や司法書士と連携している弁護士に文案作成から関与してもらい、最終的には弁護士が遺言を執行する
という形にすることをお勧めします。
上記の問題はかなりクリアできます。
ひとまず、どういった感じか、法律相談にひとまずお越しいただければ、そこまで費用はかかりませんので(数千円から1万円程度でしょう)、気になる方はご相談いただければと思います。